<U-14+アルファ編>




『メールが届いたよ。もちろん返してくれるよね。待っているよ。』


「・・・なあ、と英士って仲良かったな?」
「まあ、そこそこに。」
「英士の声、怒ってるんだけど何かあったの?」
「この前、兄さんとケンカしたんだ。それで3日間くらい携帯の電源を切って、仲直りするまで放っておいたんだ。それで何とか仲直りをした後、久しぶりに携帯の電源を入れたんだよ。そしたら・・・。」
「そしたら?」
「郭くんからメールが50通来ていた。」
「・・・・・・・・・・・マジ?」
「マジ。しかもアドレス確認したら、郭くんの携帯だけじゃなく、真田くんや結人くん、果ては潤慶くんのアドレスからも送られてた。」
「あー、この前、英士に携帯貸してって言われたけど、それだったんだ。」
「メール、受信拒否されてたかと思ってたらしいね。」
「前に英士もそんな事言ってたな。」
「別に受信拒否する理由もないからやらないのに・・・。」
「・・・あのさ、。理由があれば、英士からのメールも拒否するのか?」
「するけど?」
「・・・・・・英士にそんな事出来るの、くらいだよ。」
「そうかな。みんな理由があればやると思うけど?」
「英士は敵にまわしたくねぇー。あ、それでちゃんと謝ったのか?」
「一応。」
「一応って?」
「謝ったんだけど、向こうは機嫌悪いままだね。」
「マジかよ〜。明後日、ユースの練習なんだけど?」
「何とかしてみるよ。あ、若菜くん、ごめん、僕、そろそろ行かないと。」
「あ、もうこんな時間?やべ、俺も藤代と約束してたんだよ。は?」
「僕は真田くんと約束してるよ。」
「へー、一馬と?それならさ、。」
「何?」
「携帯の着声機能使わせてくれない?」


若菜結人、藤代と遊びに行く前に何かを企んで模様。








『一馬〜、聞いてるか?英士が機嫌悪いから何とかしろ〜。じゃ!』


「出来るわけないだろ!俺、1人に押し付けるな!!」
「真田くん。録音された声に向かって叫ばないで・・・。」
「ちくしょ〜、結人を呼び出す!!」
「若菜くんなら誠二と遊んでいるはずだけど?」
「構うもんか。携帯で呼び出して−−−」
「どうしたの?」
「結人、携帯の電源切ってる。」
「あらららら。」
「どうすりゃいいんだよ〜。」
「別に何もしなくていいんだけど。」
「はっ?それじゃあ、英士の機嫌直んないだろ?」
「そもそも郭くんが不機嫌なのは・・・。」


説明中♪


「何だよ、と英士がケンカしてるのかよ。てっきり、俺が何かしたかと思った。」
「経験あるんだ。」
「・・・付き合い長いからな。それより、が不機嫌な理由なら、英士を早く何とかしてくれ!明後日、ユースの練習なんだよ!!」
「いや、これから連絡しても、会えるのは今週末だろうし。」
「今から英士の家を教えるから、何とかしてくれ。じゃないと、今週の練習は地獄を見る!」
「いいけど。・・・英士くんが不機嫌だと何か起こるの?」
「・・・・ごめん、俺の口からはとてもじゃないけど・・・・」


真田一馬、郭英士が本気で怒った時の事を思い出しただけで半泣きする。









『英士、と早く仲直りしてくれ!』


「今の一馬の声だよね。何で涙声なの?」
「それはね・・・・。」


説明中♪


「あはは、ヨンサ、今、機嫌悪かったんだ。通りで口数が少ないし、苛々してると思ったよ。」
「一緒にいて気が付かなかったの?」
「うん。僕、昨日、日本に来たばかりだからね。ヨンサは部屋に篭りっきりだし、僕はオジサンとオバサンと話してたから。」
「そうなんだ。それにしても潤慶くんと会うのも久しぶりだね。」
「そうだね。が韓国に仕事に来た時に会ってからだから・・・2ヶ月ぶり?元気そうで何よりだよ。」
「潤慶くんこそ。」
「あ、ところで今の一馬の声って携帯で録音した声?」
「うん。これを携帯の着信音にも設定できるんだ。」
「へー、面白そう。ね、僕も録音していい?」
「うん、どうぞ。あ、ところで・・・」
「何?」
「とりあえず、僕、郭くんに用事があったんだけど、今日は家にいるの?」


李潤慶、目先の人参()に騙され、本題を忘れる。









『ユンだよ〜。ねぇ、メール見て返信してよ。待ってるよ〜。』


「それでは俺に会うつもりで来たのに、何分潤慶と遊んでたの?」
「遊んでた・・・というよりインターフォン鳴らしたら出て来たのが彼で、そのままリビングに強制移動させられたんだけど?」
「まったく、が潤慶が日本に来ている事を知らないんだから、俺に用があるって考えればわかる話なのに。それでが1人で俺の部屋に来た話は分かったけど、俺の部屋の場所を教えた奴はどこに消えたの?」
「真田くんの家に遊びに行くって出て行ったけど?」
「潤慶・・・逃げたね。」
「ねえ、郭くん。メールの一件、まだ怒っているの?」
「怒るのも馬鹿馬鹿らしくなって来たところだよ。別に故意にやった訳でもないし、にもの都合があったしね。」
「あ、そう言ってくれると助かるよ。」
「そう?それなら1つお願い事があるんだけど?」
「何かな?」
「その携帯に僕の声も録音してるでしょ?消して入れ直したいだけど」
「お安い御用だよ。はい。」
「さすがにメールが届く度に、俺の不機嫌な着声が流れるのは御免だからね。」


郭英士、と和解して着声を入れ直す。









郭宅から帰る途中の電車の中で、藤代と若菜に遭遇。


『俺からのメールが届いたよ。返事、楽しみにしてる。』


「お、英士、入れ直したんじゃん。」
「うん。ちゃんと仲直りもしたよ。」
「それなら、明後日の練習も大丈夫そうだな。」
「何々、何かあったの?」
「ちょっとね。」
「ああ、ちょっとな。」
「ああ〜、何だよ。結人もも2人して、俺に内緒事?」
「別に。」
「そうだよ。」
は別にって言ってるじゃん。若菜〜、教えてよ〜。」
「英士が怒った時の話なんだけど聞きたいか?」
「・・・・いや、それならいいや。」
「誠二が即答で断るなんて珍しいね。」
「ハハハ、ちげーよ。藤代の奴、この前、英士の服にソフトクリームつけてさ〜。英士は何も言わずに藤代を睨んだだけだったけど、藤代はその後ずっと怯えてたもんな。」
「アイツ、睨んだだけで怖いって。あれなら三上先輩に殴られた方がマシだよ。」
「わかるけどな。あ、次の駅で俺降りるわ。それじゃあな、藤代、。」
「それじゃあ、また。」
「またな」
「あ、。今回は一馬の伝言を録音したけど、来週の選抜の時に俺もちゃんと録音するから。」


、来週も携帯の録音に時間を割かれる。