バチバチと火花が散る。お互い睨み合ったまま、一方はギリッともう一方はしらっと。
そんな擬音が似合う鋭い切れ長の目と、眠たそうな何を考えているか推し量れない目が睨み合っていた。


一触即発。
絶対零度。
険悪で剣呑で薄い氷を踏むような危うさ。


そんな空気の中、2人は睨み合っていた。


凍える。
こんな所に居たら凍えてしまう。
ああ、何で俺はこんな所に来たのだろう。
ああ、何であいつはあそこで睨み合っているんだろう。
ああ、何で体は動いてくれないのだろう。
動いたら速攻この場から立ち去るのに。


今は3月、場所は東北と東京に比べると寒い場所。けれどここは暖房が効いた室内。体が資本の俺達を考慮して、寒さなど感じない温かさの筈なのに、何故か体の震えは止まらない。何だ、これは?


「あのさ・・・」


その一言が俺を救った。発したのは恐ろしい事に睨み合う2人の間に座っていた奴。。俺と同じ年、チーム、ポジションと共通点が多い奴。そいつは睨み合う2人を互いに見た後、


「いい加減、ご飯食べない?」


と、言った。不思議な事にその一言で睨み合う2人の戦いはあっさりと終わり、凍えそうな空気は元に戻り春風の吹く暖かさのようにも感じられた。




は癒し系。そう誰かが言っていたような気がするが、何となくその言葉の意味を理解してしまった。


(俺にはあの状態の英士を元に戻すなんて無理!)





(真田視点。着音ボイスの話 睨み合っていたのは郭と横山です)