ここはもう修学旅行の定番コースなんだろう。どちらかと言うとマイナスイメージの強いねずみを愛らしくデザインした夢の王国。平日にも関わらず人は多い。


修学旅行初日、東京の夜空を見たら紫色の空が広がるばかりで星が見えなかった。話し掛けて来た圭介にその事を話したら、圭介も空を見て「星が見えねぇ」と呟いた。


私、は場所が変わっても圭介とよく居ます。それは多分圭介も同じ。星が見えない夜空は新鮮だけど、どこか物悲しい気がした。そう圭介に言ったら同意してくれた。同じ事を女友達に話したら首を傾げていたので、それが嬉しかった。


「ハイ、チーズ」


お決まりの写真の掛け声と共にシャッターを切る谷原君。1枚撮った後、別のカメラでまた1枚、そのカメラで撮ったらまた1枚。1人1台持ち歩く修学旅行ならではの光景だ。


「あれ?今ので5回目だよな。誰か俺にカメラ渡してない?」
「あー、俺」


記念撮影用に作ったと思われるモニュメント。その前で写真を撮る為に並んで居た私の横の圭介が手を挙げる。


「山口、カメラは?」
「ん?持って来てない」


小学校の時も同じ事を言っていた。その理由も恐らく小学校の頃と変わってないのだろう。


の貰えば済むし」


変わってないその答えに呆れが半分、嬉しさが半分。思わず出た言葉に圭介はにかっと笑って見せた。


「変わらないね」


その笑顔を先程谷原君に返して貰ったカメラで激写して見た。同じ班の喜多村さんと下崎さんに焼き増しを頼まれたのはその日の夜の事。