世界で一番有名だと思われるねずみ。そのねずみをマスコットキャラクターにした夢の王国。そこは修学旅行の定番コースである一方、家族旅行の定番コースでもあった。


子供の頃はとても大きいと思った場所。あれから身長も伸びて目線も変わり、色んな物事を学び、あの頃とは違った視点で物も見れるようになった筈なのに。あの頃とあまり変わらないと少しでも感じるのは、隣に居るのが相変わらずの幼馴染のせいなのか。




俺、山口圭介は家族旅行でここに来た事がある。その時はお隣の家も一緒だったので、と一緒に歩き回った。




「あのマスコットの中に居る人さ、男だと思わない?」
「それ、昔来た時にも言ってたな」
「いや、だって気にならない?今日、こんな暑い日だから中の人ばててるよ、きっと」
「それも昔言ったよな」
「言った?」
「言った。暑いから大変そうってぬいぐるみ指して言った」


昔からは少し変わっていた。考えてる事が人と少し違っていたり、物の見方が変わっていたり。その少し違った物の見方が当時の俺からすると凄い斬新だった。今思うと、あの当時はの口から飛び出す摩訶不思議な言葉の数々に魅了されていた気がする。


それは今も変わらない。


「圭介、メリーゴーランド乗らなくて良いの?」
「乗らない。恥ずかしいだろ」
「昔乗れなくて、次来た時には必ず乗るんだって泣きながら誓ってたじゃない」
「マジ?」
「うん。白馬に乗るって言ってたよ」


笑いながらメリーゴーランドを指す。あの時は人が多くて乗れなかったとが言うメリーゴーランド。「今日は空いてるね」と言うの腕を引き、谷原にカメラを頼む。そして。


「え?ちょっと、私も流石に年齢的に厳しいものが・・・」


珍しく顔を引き攣らせるを連れて、俺が乗り込んだのは勿論白馬だった。逃げ腰のを前に乗せ、相乗りする。


昔の夢を叶える発進のベルが鳴るまであとすぐ。