女の子大好きバスケ少年、高柳か?
硬派でストイックな剣道少年、鈴木か?
爽やかで元気なサッカー少年、山口か?
壇上で囃し立てる口調で話すのは学級副委員長の時田。スーパーの特売コーナーの店員かと言った勢いだ。
(それにしても高柳のキャッチフレーズだけ酷い気がする)
「・・・と、言う訳で応援団長は投票で決めたいと思います」
暴走気味の副委員長を抑えるように、いつも以上に真面目な口調で話すのは七三・・・いや、学級委員長の田中だ。凸凹コンビのようにも見えるが、一方がハイテンション、一方が真面目系でバランスは取れていると思う。
「1人1票。無記名制。書いた人から前に来て箱に入れて下さい」
田中がそう言うと隣の椅子が動いた。
「1番はさんか」
「みたいね」
1番手はだった。それからみんな書き終えて箱に入れて行く。俺も紙に鈴木の名前を書いて箱に入れ、席に戻る。
「、お前、誰に入れた?」
は答えず、にっと意味有り気に笑って見せた。
「俺かよ」
思わず肩を落とす。
「良いじゃない。去年の団長見て、ああ、圭介にも似合うだろうなって思っただけ」
そう言って、はニコリと笑った。その顔に免じて今回は許してやろうと思った。隣の席のがそれを見て微笑んだ姿には泣きそうになったけどな(生暖かい目で俺を見るのはやめろ)。
(俺だって男なんだよ・・・)
あ、団長は結局俺、山口圭介に決まりました。不本意ですが、選ばれた以上、頑張ります。