3年に上がって2度目の席替えで、俺、山口圭介とは同じ班になったが、またしてもとは離れ離れになってしまった。それどころかは高柳と同じ班になってしまったようで、俺やから席が遠くなったせいか、今までは表向き何の動きも無かった高柳は、頻繁にに話し掛け、何かと構うようになってしまった。


(つーか、ちゃんとか言うな)


時々視界の中に見える光景に苛々が募る。が高柳と話す時の表情が、作り笑顔を貼り付けた物だと言うのが救いだった。


「はい、山口」
「何コレ?」
「見ての通り牛乳だけど」
「いや、それはわかるけど、何で俺に牛乳寄越した訳?」
「苛々には牛乳が良いんだよ。あ、後、甘い物も・・・」


そう言うとは制服のポケットを漁り、カラフルな包み紙を数個取り出すと、俺の掌に置き、牛乳を俺の机の上に置いたまま自分の机に戻って行った。どうやらなりの励ましのようだ。


「さんきゅ」


聞こえているかどうかわからないけれど(多分聞こえてる。あいつの席はは俺の後ろの席だ)礼を言って包み紙を剥がして口の中に放り投げる。メロン味の飴玉は俺の苦々しい思いとは正反対の甘さだった。






帰りのSHRの時間。担任に許可を貰った(と思われる)時田は教壇の上に立ち、


「集計が終わりました!」


と開口一番に告げたのだった。(ちなみにプリントを配布したのは昨日だ)(こいつの仕事の早さには驚かされる)


「ちなみにこれが集計したプリント。SHRが終わったら私自らの手で焼却炉で燃やして来ます!」


「いいぞー」とか「頑張れー」とか「お疲れー」と言うクラスメイト。時田が「発表します!」とノリノリで言うと、「待ってました!」と囃し立てるその姿は、傍から見れば馬鹿っぽく見えるかもしれないけれど俺は好きだ。


「まずは男子!」


クラス中の視線が時田に集中する。


「高柳智春」


高柳が立ち上がり、クラスメイトに手を振る。





名前を呼ばれたも高柳に習い、立ち上がると手を振った。


「山口圭介」


プリントを渡された時点で嫌な予感はしていたが、俺の予想は残念な事に的中してしまった。立ち上がり、手を振る。高柳、の時と同じようにクラスメイトから「頑張れよー」と言われ、憂鬱だった気分は少し晴れた。その後、女子の発表があり、俺が書いた3人が選ばれていた。