私の自慢の1つに何でも出来る凄い友人の存在がある。その友人がまるでこの世の終わりが来たそうな、真っ青な顔でこちらに向かって歩いて来た。


?どうしたの?」


私、は急いでに駆け寄った。は私を一瞥すると、口を開き何かを言おうとするが、また閉じて。それでも理由を察して欲しいのか、持っていた袋を私に渡した。


袋の中を見る。黒い。そしてレースだ。


「あの、、これってもしかして・・・」


おおよその見当はついたけれど、尋ねずにはいられなかった。重々しくは口を開く。


「衣装だって・・・」


そう一言呟くと、は長い睫毛を伏せて(羨ましいな、おい)黙り込んだ。どうやら3年4組の文化祭の出し物は、喫茶店は喫茶店でもメイド喫茶のようだ。


「ちなみに男子は?」
「執事の格好してた」
「・・・そう」


(流行の執事喫茶ですか・・・)


誰がそういう流れに持って行ったのかわからないけれど、ウェイトレスに選ばれなくて良かった。
問題は目の前で真っ青な顔で立ち尽くしているこの友人をどうするか。


(普段ののイメージとメイド服ってかなり遠いのよね・・・)


改めてを見てみる。見る。見る。


「・・・執事の格好似合いそうよね」


勿論、が。主語が抜けた台詞だったが、も自覚はあるのだろう。


「あの格好で良ければ喜んで着るよ」


と力無く答えた。


「まぁ、とりあえず着て見ない?着てみないとどうにも出来ないから」
「いざとなったら秘密兵器もあるし」


と付け加えると、秘密兵器が何か知ってる


「あー、多少はアレで誤魔化せると良いね」


と他人事のように呟いた。