俗に言う不良高校生の存在を担任のキクちゃんを追い払い、めでたしめでたしで終われば良かったけれど、そうも行かなかった。
ガタガタと震えるのは千葉さん。不良に手を掴まれ怖かったのだろう。教室内に居たクラスメイトが彼女を心配して近付いて来る。1番千葉さんに近い位置に居たのは君と山口君だ。
「大丈夫、千葉さん?」
「大丈夫か、千葉さん?」
君、山口君が声をかける。すると彼女は大胆にも目の前の君ではなく、その隣の(千葉さんから見ると斜め横の)山口君に抱き付いた。
「え?あ?千葉さん?あ?そんな怖かった?」
顔を赤くし慌てふためく山口君。君は軽く溜息を吐くと、私の方に近付いた。
「さん、さんをブースに留めておいて貰えない?」
こんな時でも君は気が回るらしい。確かにがこの光景を見たら確実に傷付くだろう。この状態が山口君にとって本意じゃないにしてもだ。
頷くと、ブースの入り口に急ぐ。だけど、少し遅かった。制服に混じってウェイトレス姿が現れる。だ。急いで駆け寄ると、ブースに押し込む。あれだけは見られてはいけない。そう山口君の方を見てしまったのが失敗だったかもしれない。
が苦しそうな表情に変わり、抵抗無くブースの中に押されて行った。