顔を赤くして下を向いたを見た時、と俺は想い合っているんじゃないかって思った。


俺、山口圭介はこの初恋に振り回されています。


(わからない事だらけだよな。初めての事ばかりで)


さっさと告白してしまえばすっきりするけど、その気が無い人間にした所で勝算は低い。それ程、の俺への態度は仲の良い幼馴染から逸脱する事は無かった。


(このまま何も無かったらどうしようかと思ったけどさ・・・)


この気持ちに気が付いた体育祭の日から、しばらくの間、を見て来たけれどの態度が変わる事はなかった。この気持ちを意識したのはどうやら俺の方が先らしい。後からが同じ気持ちになるかわからなかったけれど、顔が赤いって事はどうやらも意識したようだ。


(やっぱり可愛い)


首まで真っ赤に染める。それを見て徐々に俺の顔も熱くなって行くのを感じる。きっと同様に真っ赤なんだろう。


「話しながら行こうぜ」


そう行って手を引く。思えば手を繋いで一緒に学校に行ったのはいつまでだっただろう。思い出せない程、子供の頃。仲良く手を繋いで歩いたあの時。もうあの時には戻れない。幼馴染では無く、もっと別の形でこれからも。


(そうだ。これからも一緒に歩いて行きたいんだ)


後にも先にももうこんな風に思える人と出会えないと思える程、掛け替え無い人。愛しさと共に、


「俺、ずっとお前と一緒に居たい」


そう吐き出せば、繋いだ手が強く握られた。


「それって・・・」


もう赤い顔を隠そうとは思わなかったようだ。赤みが引かない顔を上げ、俺と向き合う。


「どういう事?」


少し震える声で問い掛ける。好きだと言いたい。言って抱き締めたい。けれど、今は言えない。


(千葉さんの返事を先に済ませないと、言えない)


それが千葉さんとに対する礼儀のつもりだった。くしゃりとの髪を梳く。


「今日、文化祭が終わったら言うよ。それまで待ってて」
「・・・うん」


優しく微笑むの顔を見て、俺は昨日失い掛けた物を取り戻したのだと改めて実感した。