それはナショナルチームの合宿中の事だった。集まったメンバーの大半は相変わらずお馴染みの顔ぶれ。


「よー」
「おー、お久しぶり」


慣れた様子で短く挨拶をする山口の傍ら、大きな鞄を持って歩くのは彼の大事な幼馴染(兼彼女)。


「こんにちわ。山口さん」
「おー、日生じゃん。久しぶり」
「・・・あのさ、荷物持ってあげたら?」


日生の視線の先にはの持つ大きな荷物。女性にしては背の高いは何て事無い顔で持ち歩くが、そこはやはり男として持つべきだろう。そう暗に言う日生の視線に山口は苦笑すると、


「持つって言ってるんだけど、いつも断られるんだよ」


と言った。『いつも』の言葉に引っかかった日生が、聞き返す。


「そう。いつも。ガキの頃もそうだし、中学も高校も。あ、唯一、体育祭の時に怪我してその時は持たせて貰った」


その付き合いの深さに日生は羨ましい顔で山口を見たと言う。





(山口&ヒロイン、高校2年生)