初めて出会った頃から、カーティス=ナイルという男には理解しかねる部分が多々あった。結婚してからもそれは変わらなかったのだが・・・・。
「ねぇ、。貴方にとって僕が1番ですよね?」
「はぁ?!」
夫の突拍子も無い言葉には驚かされた。今の台詞はまるで付き合い始めのカップルのようではないか。いや、台詞自体は何ら問題ない。何が問題ってあのカーティスの口からこんな台詞が出たと言う事である。廃業して以来、いつも私にべったりな彼である。誰かが吹き込んだとは考えにくい。そうなると何か電波を受信してしまったのだろうか?
「もしかして僕は1番じゃないんですか?」
急下降する夫の機嫌。この状態が如何に危険か理解出来ているは、夫に近付くと宥めるように髪を撫でた。
「いきなり言われたから吃驚しただけ。優先順位で考えればカーティスが1番だけど」
「そうですよね。でも、この子が出来てからはその優先順位が変わってしまったみたいなんですけど?」
キッと殺気混じりの眼光がの腕に注がれる。腕の中の赤ん坊は寝ていたお陰でそれに気付かず、泣かれずに済んだ。
「子供をそんな目で見ないで。怯えて泣いたら厄介でしょう?」
ジト目でを睨んでやれば、夫の方がまるで幼子のように不安そうな眼差しでこちらを見て来た。
その後、カーティスが1番だと証明するのにが苦労したのは言うまでも無い。