えっと・・・神さま。私に一体何をさせたいのか、原稿用紙1枚に纏めて提出を頼む。






こんにちは。※※※※、改め、鈴木です。前世の自分についてはさっぱり思い出せないが、5歳児にしては知識がある気がするので、どうやら前世で貯めた学習能力は失われていないらしいです。とりあえず自分自身についての情報がそれなりに集まったので、この辺で1度纏め作業に突入しようかと思います。

まずは1番重大な園子に関して。え?何で1番重要かって?それは彼女が私の生命線だからですよ。何故、自分が1番じゃないのかは追々説明するとして、まずは園子について説明。

あの事件以降、園子はパタンと倒れて熱を出して寝込みました。私と違って外傷はまったく無かったが、精神の方がもたなかったようです。仕方無いと言えば仕方無いですよね。私達はまだ5歳だから。

あ?私は平気に見えるって?ぶっちゃけると平気。恐らく※※※※としてそれなりに生きた気がするので、精神年齢がそれなりに高い気がするんですよ。少なくとも成人は済んでそう。でもそれだけでは説明出来ない事もあるので、常人よりも血に慣れているかもしれないですね。血に慣れるって私は前世でどんな人間だったのか結構気になります。案外、医者とか看護婦といった慣れざる得ない職業に就いていたのかもしれないけれど、答えの出ない疑問なのでそこは敢えて気にしない方向で。

さて、寝込んでいる園子には既に専用の世話係の女性が付いているけれど、新たにボディーガードも付く事になりました。と言っても今の所は園子の部屋の目の前で見張っているだけ。ボディーガード独特の張り詰めた空気が私を刺した男の剣呑な空気に似ているらしく、同じ室内にいるだけで園子が偉い怯える怯える。それでも少しずつ快調に向かっているらしいので、早い所治って欲しいところ。名の知れた財閥の令嬢である以上、今後もずっと彼らにはお世話になるからね。

私はと言うと現在は鈴木財閥系列の病院の特室に入院中。傷跡自体は綺麗に消えるらしいが、生涯、全力で疾走する事が出来ないと医者に告知されました。走るために使う足の部位の一部をナイフで深く傷付けられた事が原因とか。今は立つ事もままならないけれど、医者の見立てではしばらくすれば自分で歩けるようになるらしい。無理をすると腫れたり、最悪自立歩行すら危うくなるのでこの辺はもう諦めるしかないですね。

諦めが良いって?

だってあの後、降って来た2枚目の紙に書いてあったから。2度と全力で走れない罰を追加ってね。前世の罰で事件に巻き込まれやすくなった私にとって、これは正直かなり痛い。コミックの中でも園子は犯人に遭遇したら逃げに徹していたけれど、私の場合、それが出来無いのが痛過ぎる。最悪、犯人に狙われた園子を守りに行く前に自分が殺されてしまいます。

流石にそれは不味いと思ったのか、今度は特殊能力を遣す旨を記した3回目の紙が降って来た。その1つが乗り物を自由自在に操縦出来る能力。ヘリだろうとフネだろうと車椅子だろうと自由自在に乗りこなせる・・・らしい。足の傷のお陰で立ち上がる事すらままならないので、確認は後日に持ち越しです。

2つ目。物事の詳細情報を得る能力。情報を得たい対象を凝視し、ガラス面を見るとそこに入手情報が映る能力だけど、何故ガラス面?とりあえずこの能力の名前は・・・魔眼で。何となく魔眼っぽいって思ったから。中二病っぽい?まぁ、私は5歳児だから許せ。試しにお見舞い品の林檎に対して使ったら偉い事になりました。直径や重量がわかるのは良い。まさか生産者までわかるとは思わなかった。林檎1つに原稿用紙2枚分の情報量である。そりゃ、頭も痛くなる。この能力は今の所、1日1回が限度だ。1回の使用でかなり精神力を消耗しますね、コレ。精神年齢は高いが、精神力はまだそこまで高くはないようです。5歳児の体に精神が引き摺られいるからだろうか。年を取り、もう少し成長したら回数が増えるかもしれません。これも追々検証予定で。

3つ目は共感能力。これは双子だから出来る技と言うべきか。園子の危機を私が感知出来る能力です。・・・紙に書いていないが、これ逆は無いよね?園子に私の危機を感知されたら不味過ぎる。カモがネギどころかコンロガスに包丁まな板背負って来たレベル。・・・多分無いと思いたい。

4つ目は頭脳。数値に表すとIQは400。うん、凄い。何が凄いってあの怪盗キッドと同等レベルって事です。知識を詰め込まないと生かせないという欠点があるけれど、元が良いのでそう手間の掛かる作業では決して無い筈。希少本も手に入れやすい家だから、どんどん読んで吸収して行けばかなりの武器になる筈です。

最も重要なのが5つ目。どうやら私は園子が死ねば死ぬ運命にあるが、逆にいくら自分に銃が突きつけられようと死なない運命を得たらしい。これに関しては検証するには危険過ぎるので、状況を見て判断するしかないですね。けれど、もしこの能力の効力が絶大ならば、どんな状況に私が陥ろうと事態が好転する訳です。いざという時には私が園子の盾になれば、私も園子も無事というのが嬉しい。

しかし、この最後の能力は園子を守る為だけにあると言って良い。未だに神さまが私に何をさせたいのかさっぱりわからない。私に園子を守る為、に尽力すさせたいのはわかりました。だけど園子を守る事が前世の罪を拭う事にどう繋がるのかがわからない。そもそも前世で犯した罪がわからないと言う事が大問題です。反省したくても出来ないとか勘弁して欲しい。

私がここでいくらブツブツ言ったところで、状況が変わる筈も無く。出来る事と言えば、来るべき日まで力を付ける事くらいでしょう。あ、言い忘れた。園子が事件に巻き込まれるのは『高校2年生』になってからと紙に書いてありました。細かく言えば『工藤新一』が『江戸川コナン』になってから。正直、準備期間があったのは助かった。いくら強力な能力を貰ったからと言って、使いこなせなければ意味が無い。如何せん今の私は5歳児。今出来る事など片手で足りるのが現状だ。

ま、10年以上時間があるならば、精々有効的に使わせて頂くとしましょうか。