こんにちは、鈴木だ。気が付けば、6歳。今は幼稚園に行かずに家で勉強の毎日を送っているよ。

将来的には歩行に関しては問題無くなるまで回復する。医者からそう言われ、早半年。体の細胞の再生も早く、自力で立てるようにまで回復した。年齢的にも足の筋力もそう発達していないので、杖などを使っての掴まり立ちしかまだ出来ないが、車椅子さえあれば自由に動けるようになったのは嬉しい。本1つ取るのに世話係に頼むしかないとか面倒でしょうがなかった。

あ、幼稚園は本人の都合という形で退園したよ。園子は未だに通っているけれどね。同年代の子と楽しく遊んだ方が良いという精神科医の意見もあったけれど、何よりも園子自身が望んだのが大きい。その代わりこっそり護衛役はつけている。今の園子の組の担任の保育士もその1人。ボディーガードや護衛役になれるなら、今の方が楽だからね。高校生になってそんな話をされても園子だって困るだろうし。てか、絶対、拒否するな。ナンパの邪魔とか言いそう。

園子が幼稚園に行っている間、私は家で勉強だ。早めに知識の蓄積作業をしたかったのでちょうど良かったが、小学校の勉強に時間を割かなければいけないのは辛い。わかってるよって声を大にして言いたい。言えるものなら。流石に習っていないのにわかるなんて言えない。なるべく早めに小学校レベルの勉強は終わらせるつもりだが、繰り返しが大事だと言う家庭教師によって毎日九九をやらされている。この時間は・・・苦痛だ。

それとは別に外国語の勉強も始めたが、こちらは比較的楽しくやらせて貰っている。文法重視の勉強では無く、会話重視にしたのが良かったのかもしれない。英語は早めに触れた方が覚えやすいと力説して良かった。でも、本当IQ400を舐めていた。アルファベットからスタートして、1ヶ月くらいで海外で生活するくらいなら困らない程度まで上達した。頭の回転や発想の転換も速いけれど、何よりも記憶力が良いのは嬉しい。暇な時に図鑑を見ていたら覚えるのが早い早い。とは言え人間限界があるし、手当たり次第覚えても意味が無い。

まずは犯罪捜査の知識を優先して覚える事に決めた。事件に巻き込まれるのは確定事項。工藤新一や服部平次が毎回現場に居るとも限らないので、最低限、自分や周りの身の証明が出来るくらいには覚えておこうかと。でも、、参考書を読んでいたら母に取り上げられた。あれだ。貴方にもわかる死亡推定時刻というタイトルがやはり不味かったか。私の世話係にこの手の読み物は全て取り上げるよう母が命じたから正攻法ではもう読むのは無理だ。教育上よろしくないのはわかるが、頭脳と精神は大人なので子供向け絵本は面白みが無い。あの本は諦めるにしても、次からどうするか。よし、英語の勉強も兼ねてそれ系の洋書を取寄せる事にしよう。英語表記なら見られてもばれにくし、何よりも英語の勉強と言って堂々と読める。流石、IQ400。瞬時に思いついちゃったよ。あははは。


「君が鈴木かい?」

と、調子に乗っていたのが悪かったのか、洋書を取寄せてと頼んだ翌日、何故か外人さんが自宅に来た。英会話教師の外人さんとは別。何でも食あたりを起こしたから、その代理で来たと言ってるよ。うん、嘘だよね。魔眼で見なくてもわかるよ!何かこう嫌な予感がビシビシ感じるよ!何て言うか俺はお前の秘密を知ってるんだぜって顔してるよね!それなら私も容赦無く魔眼使うよ!1日1回までの使用なら問題無くなったからね!!

怪しさ全開の男を1秒程凝視。その後、男の背後の窓ガラスを見れば、男の詳細情報が窓ガラスに映る。例えて言うなら、私にしか見えないプロジェクターの投影みたいなものか。えっと、名前はアンガス=マレット。国籍は英国。年齢が・・・・・・え?318歳?でも、何度見ても情報欄の年齢の横に318の文字が・・・。

「おや、顔色が悪い。私のナニカに気付いたのか?」

嘲笑交じりの声に「マジか」と顔が歪む。

「やはり君はただの子供じゃないようだ。しかし、チェスと同じと言う訳でもあるまい」

チェス?あのクイーンとかキングとか使うアレか?

「ふむ。非常に興味深い。それで君は一体何者だ?」
「ただの6歳児ですよ」

言っている事は大当たり。だけどその根拠の提示は皆無となればやる事はただ1つ。誤魔化す。それに限る。

勿論、この男が誤魔化されるとは毛頭思っちゃいない。ただの6歳児の戯言として聞いてくれるなら、貴方の会話にお付き合いしてあげましょう。そういう誘いを掛けただけ。普通の人なら私の言葉の裏に気付かないまま終わるけれど、この男なら余裕の筈。

「なるほど。ならば私もただの家庭教師代理として話そうか」

情報通りならば伊達に長生きしていないだろう。何よりも情報の特技欄に『思考の先読み』とあった。しかし、本当に318歳か。職業は錬金術師。人種は・・・不死者って何コレ?。あれか?賢者の石で不老不死になったのかね?