この物語は涼宮ハルヒの憂鬱の性転換小説です。
女性キャラが殆ど男性化しております。
男性キャラはそのままです。
苦情等は受け付けられませんので、読む際にはご注意下さい。

涼宮ハルヒ→ハルヒコ
長門有希→ユキ
朝比奈みくる→みつる





注意事項を了承出来た方はレッツスクロール。
















 



世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒコの団。略称、SOS団が発足されてから早1ヶ月。問答無用で頭数に入れられた俺。部室乗っ取りの際にそのまま部員にされた長門。任意同行と言いながら、どう見ても拉致にしか見えない方法で連れて来られた朝比奈さん。半端な時期に転校して来たお陰で勧誘された古泉。ハルヒコを含め、男だらけ、5人だけの同好会は、表向きには生徒社会を応援する(以下略)な奉仕団体として申請したが、そんな物が学校側に認可される筈も無かった。当然といえば当然の結果である。だが、当のハルヒコ本人は上機嫌だった。部室と部員、そしてパソコンを手に入れたからだろう。特に最後のパソコンは朝比奈さんの身を張った(張らせられた)お陰だが・・・・・・それは同性として同情を禁じえない過程を経て得た物だった。部室の隅で瞳を潤ませる朝比奈さんから微妙に視線を逸らす。アレを見たら非の無い俺ですら罪悪感を抱きそうだ。メイド服が似合う男に生まれなくて良かったと思うと同時に、いやいや似合う男なんて滅多に居ないとツッコミを入れつつ、その辺の女子よりも遥かに似合う朝比奈さんに同情を感じながらも、基本的に事なかれ主義の俺はその全てを口に出さずに今日もまた飲み込むのだった。うっかり知ってしまったハルヒコのメイド服の入手経路から推測するに―――朝比奈さんは次は何を着せられるのだろう。頑張って逃げて下さいと心の中でエールを送る。例え、ハルヒコから逃げる程の脚力を持つ奴など、この学校でも数えるくらいだろうとだ。








さて、先日、ハルヒコの思い付きで市内アマチュア野球大会に出場する羽目になったが、野球が出来て満足したのか、その後は特にあいつの思い付きに振り回される事も無く、穏やかな日常が続いた。そんなある6月も終盤に差し掛かった頃。




「何か面白い事ねぇかなぁ・・・」

何て事無い言葉ではあるが、吐いた人間に問題があった。




涼宮ハルヒコという人間は、どんな非常識なことでも思ったことを実現させるという、とんでもない能力の持ち主である。本人がその能力に無自覚な事と、心の奥で不可思議な事象を否定しているお陰で何とかなっている。いや、何とかしていると言うべきだろうか。俺を含む一部の人間が巻き込まれている時点で、均衡が何とか保たれていると言える状態では無いと最初は思っていた。しかし、しばらくして考え直してみれば、確かに今の状態は均衡が取れていると言ってもいい状況なのかもしれない。あいつが否定しなければ、世の中、奇妙な物で埋め尽くされるだろう。最悪、金曜日の映画放送で名作アニメが流れるだけで危険なのだ。映画を見た後のハルヒコが望んでしまえば実現してしまうのだから。青い未来から来た猫型ロボットには会ってみたいが、生と死を司る神様が巨人として現れた日には、映画では見れなかった悲劇が待っているかもしれない。




部室の椅子に腰掛けたまま、背中を倒して伸びをするあいつを見る。退屈していますというオーラがハルヒコの全身から滲み出ており、それを見て俺は内心で溜息を吐いた。また何かに付き合わされるのか。この1ヶ月で俺が学んだのは、人間、諦めが肝心という事だ。




今までのパターンから予想して、騒動は数日後から1週間後。そう予想していたのだが、俺の予想は呆気無く砕け散った。ハルヒコの面白い事発言の翌日。休み時間にぼんやりとしていた俺の耳に、女子の噂話が勝手に入って来た。




彼女達曰く、この前、他のクラスに転校して来た女子の占いが良く当たるらしい。失くした物を見つけて貰ったり、お陰で彼氏が出来た子がいると彼女達は興奮気味に話していた。男に比べて女はどうして占いが好きなのだろうか。そんな疑問が頭を過ぎったが、俺は相変わらず窓の景色を見ていた。入学してもうじき3ヶ月。高校生活にも慣れ、退屈そうにしている顔が目立つ教室内。思えばハルヒコと出会ってから日常が慌しく変化して行き、その中で固定概念を捨てる羽目になってからというもの、こういった日常が酷く愛おしいと思う事が増えた。




背中に何とも表現しがたい気配を感じる。俺が溜息を吐く前に後ろの席に座る元凶がガラリと音を立てて椅子から立ち上がった。胸の辺りにガッツポーズ。ああ、どうやらまた思い付いたらしい。さらば穏やかだった日々よ。ハルヒコに名前を呼ばれて立ち上がる。抗うだけ無駄だ。あいつは面白い事が起きる事を望んでしまっている。回避出来ない以上、俺に被害があまり来ない事を祈るのみだ。やれやれ。そう俺は呟いて、ハルヒコの後に続いた。








今回のハルヒコは珍しくまともだった。噂を聞いて即行動では無く、噂の真偽を確かめるために情報収集からまず始めたのである。こいつは賢い癖に思考と行動が直結しているせいか、本来必要な手順を踏まずに直接結果に繋がる行動に出る事が多い。当然、そんなハルヒコと対面した相手は大いに戸惑う所をこの1ヶ月でそれなりに見て来たのだが、今回は見ずに済む可能性があるかもしれない。見ないだろうと俺が断言しないのは、あいつが涼宮ハルヒコだからだ。




噂の転校生の情報を軽く集めてみたが、どうやらその占いは本当に高い的中率を誇るらしい。調べて行くうちにわかったのは、彼女の占いは曖昧でどんな解釈も出来る物では無く、かなり具体的な結果を教えてくれるという事だ。その的中率と具体性を求めて、転校して1週間だというのにも関わらず、休み時間が来る度に占い希望者がやって来るという話だ。

「でも、彼女は昼休みと放課後に5人ずつしか占わないですよね」
「毎日10人って事か」
「いえ、実際はもっと少ない筈です」

恋愛絡みの占いは放課後にしかしませんから。そう答えた古泉は件の転校生と同じクラスだった。中途半端な時期にやって来た転校生が2人。理数系の特別進学クラスだから転校生が優秀なら有り得なくも無い話だが、1人は超能力者、1人は占い師は流石におかしいだろう。どうなっているんだ、1年9組は、と考えた所でふとある疑問が湧き上がる。

「古泉」
「何ですか?」
「その転校生はお前と同じか?」

ハルヒコを観察する組織は俺が確認出来ただけでも3つ存在する。宇宙人、未来人、超能力者。ハルヒコの能力を考えれば、非現実な組織から観察されても仕方ないと思う反面、本人がそれら非現実な存在を求めている部分もあるので、あいつ自身が呼び寄せた可能性すら生じて来る。ここで第4の勢力が現れた所で俺は特段驚きはしないだろう。

「彼女は組織自体は異なりますが、僕達同様、組織に属した人間です。ただ、彼女は涼宮くんに呼び寄せられた可能性が非常に高いですね。そうでなければ、あの組織がわざわざ彼女を派遣して来る筈がない」

そう言って古泉は穏やかな顔に柔らかい笑みを浮かべた。いつもこんな感じで笑っているこいつだが、いつも以上に楽し気に見える。どうやらこいつは件の転校生に一定以上の興味を抱いているようだった。






放課後に部室に集合。そう俺達に召集をかけたハルヒコだったが、当の本人だけがいつまで経っても姿を見せなかった。古泉、俺、長門、朝比奈さんの順に部室に入り、話したり、本を読んだり、お茶を入れたりと入れて貰ったりと適当に過していたのだが、ハルヒコがやって来る気配は見えない。流石に時間を持て余し気味になり、メールで呼び出そうとポケットを漁った頃、廊下で人の騒ぎ声が聞こえた。嫌な予感と共に廊下へと走り出す。ドアを開けて確認すれば、2つ隣りの住民も何事かと部室から出て来た所と、何故か複数の女子に追われるハルヒコの姿が見えた。

「何、やってるんだ、あいつ!」

この1ヶ月で多少の事では驚かなくなった俺だったが、流石に今回は大いに驚いた。部室前までやって来たあいつは肩に女子を担いでいたのだから。




部室前で追って来た女子と言い争いになったハルヒコのお陰で、女子はハルヒコの肩に担がれたままだった。俺と視線が合う。反射的に軽くお辞儀をすると、向こうも同じように返した。さらりと彼女の長い黒髪が視界の中で靡いた。


一言で言うならば、彼女は今の日本では絶滅の危機にある大和撫子を体現したような人だった。ハルヒコの肩で困ったように眉を寄せていたので、あいつにとりあえず下ろせと言えば、しぶしぶながらあいつは彼女を下ろした。床に足を付けた彼女は、俺を見るなり深々と頭を下げる。

「ありがとうございました」

古今に関わらず、美人に礼を言われて悪い気がしない男はいないだろう。例に漏れず俺もつい顔が緩むのを感じ、慌てて表情を引き締める事となった。

「君が・・・さん?」

朝比奈さんと似たような展開に真っ先に思い付いた名前で呼び掛ければ、案の定、彼女は頷いた。言い争い中の彼らから話は聞けそうに無いので、状況を彼女から確認すれば―――やはり今回もハルヒコは最後までまともに動く事は出来なかったらしい。

「何と言っていいものか。その・・・すまん」

男なのにお姫様抱っこで拉致られた朝比奈さん同様、肩に担がれて拉致された目の前の彼女も
相当酷い状態だ。代わりに俺が謝った所で彼女の気が晴れると思わなかったが、言わずにはいれなかった。謝罪を口にする俺に対し、彼女は不思議そうな顔をした後、苦笑いを浮かべて大丈夫ですと言った。


この時点で俺は彼女をいい人だと認定したのだが、その後、相変わらず言い争うハルヒコと女子の間に入ってくれた。占い中に彼女を担いで連れ去ったハルヒコが全面的に悪いのだが、彼女は誰を責める訳でもなく、占いの続きをしようと女子を促し、ハルヒコには終わったら改めて部室に来る旨を告げていた。口をへの字に曲げる不機嫌なハルヒコに古泉が近付く。古泉ならハルヒコを上手く宥められるだろう。

「それではまた後で」

そう言って踝を返した彼女は、約束どおり1時間後に現れた。待っている間、ずっと苦虫を潰した顔のハルヒコは彼女が現れた瞬間に熱烈に勧誘し始め、6人目にして初めての女性SOS団員が誕生したのだが・・・・・・。




「あー、変な事を聞くが・・・・・・は宇宙人とか未来人とか超能力者では無いんだな?」

偶然にも近所の引っ越して来た彼女と帰る最中、不意に古泉の言葉を思い出し、恐る恐る尋ねてみた。我ながら非常識な質問ではあったが、如何せん、俺の固定概念は粉々に砕かれてしまったばかりだ。妙な顔をされたら適当に誤魔化そうと考えていると、彼女は驚いたように目を見開いた。

「や、あのな・・・」

慌てて言い訳を口にしようとしたが、彼女の方が先に口を開いた。しかも、返って来たのは予想とは正反対のものだった。

「なんだ彼らの事は知っているんですね。それなら話は早いです」

彼らとは長門、朝比奈さん、古泉の事だろう。どうやら古泉の言っていた事は本当のようだ。異なる組織と言っていたので、第4勢力の人間のようだが、果たして彼女は一体・・・・・・。




「私、陰陽師なんです」

宇宙人、未来人、超能力者の次はどうやら陰陽師らしい。

「改めてよろしくお願いしますね」

美人からの申し出だ。男なら即座に受けるべきなんだろうが・・・・・・。

「ああ、よろしく・・・な」

若干引き攣りながら俺はそう返すのがやっとだった。




これからの未来どうなるんだ?


神でも宇宙人でも未来人でも超能力者でも陰陽師でも無い、ただの男子高校生である俺は本日最大級の溜息を内心で漏らすのだった。







需要が無いのわかりながらも書いてしまった・・・・。