この話は『転生学園 幻蒼録』の夢小説です。
多少のオリジナル設定を混ぜ込んでいます。
それでもよろしい方はこちらからどうぞ









































菊花祭での執行部の催し物は特に毎年決まっていなかった。当時の執行部員の意見によって決める事で、その代の執行部の特色を出すと言う狙いがあるらしい。1年前、九条綾人の提案、演劇が執行部内で票を集め、子供達に夢を与える題材を選んだお陰か、キャスティングのお陰なのか、子供達に嘗て無い程の盛況だった。そういう過去もあり、今年も執行部は演劇をやるらしい。そんな話を教室で聞いた日の放課後、やけに間の抜けた放送で俺、は呼び出しを受けた。


「2年壱組11番の物知り君〜。至急、第2会議室まで来てね〜」


独特の物言いで有名な山吹先生の声に、ピタリと廊下を歩く足を止める。2年壱組の出席番号11番は間違いなく、俺を指していた。しかし、山吹先生の担当教科を履修した事は無い。話した事も数回程度で、如何せん、物知り君と呼ばれる理由も身に覚えが無い訳だが、教師に呼ばれた以上、無視をする訳にも行かず、仕方なく第2会議室に足を運ぶ事になった。


2回ノックの後、目礼をして部屋に入る。2クラス分の人数を収容できる会議室。その隅の方に固まって数人、制服姿の男女。


「お、、来てくれたな」


こっちだと手招きして俺を呼ぶのは同じクラスの九条綾人。九条家の嫡男。文武両道に優れ、弱点らしい弱点を持たない彼は、1年の時点で執行部入りしており、更に2年になってからは参事になり、執行部ナンバー2として目下活躍中の男だった。親しいと呼べる間柄ではないが、席が近い為、よく他愛も無い話をする相手だ。


「オス、!」


気合の入った大声で声をかけるのは、3年生の宝蔵院鼎先輩。実家が道場を営んでおり、将来はそこの跡目を継ぐ事になっているのだが、修行に明け暮れていた為、登校日数が足らずにまた3年生をやる事になった人だ。1年の時、昇段演武の相手が彼で、負けはしたものの善戦したせいか、顔を覚えられ、今でも会うと挨拶する間柄である。


宝蔵院先輩の右隣、会議室の上座に座るのが現総代、保科貴彦先輩。その横に執行部のメンバーが顔を揃えるが、見覚えがある顔が2つ。名家と名高い那須乃家のご令嬢に、九条家の分家、紫上家のご令嬢。


(おいおい、天照七家のうち、四家揃ってるな・・・・)


血族氏家を尊う天照郷において、天照執柄家の九条家、その分家筋の紫上家、天照安倍家、天照大津家、天照風間家、天照月代家、近衛氏族那須乃家に、清華氏族宝蔵院家の七家は代々優秀な人材を輩出しているとして、郷の人間からも一目も二目も置かれている。その七家のうち、四家の次期当主がいる上、現総代の保科の母方が大津家の家柄の他、執行委員の中にも由緒正しき家柄の子息子女が多く、俗の者と呼ばれる一般人の俺としては居心地が非常に悪かった。


(早く用件済ませて帰りたいな・・・・)


内心深い溜息を吐き、早々にこの場を辞そうと用件を尋ねようと口を開こうとすると、背後の扉が開く音と共に、を放送で呼んだ主、山崎夏子がようやく遅れて登場した。


「物知り君、来てくれたのね〜」
「何故、物知り君と呼ばれる理由がわかりませんが・・・・・・」
「あら〜、君、色んな事を知ってるって前に九条君が言ってたわよ」


博識だと褒めてくれているのだろうか。笑顔でそう言われた以上、俺の方からとやかく言うつもりはなかった。席に座るよう促され、比較的執行部員とは離れた席に座ろうと奥の椅子に手を伸ばす。


「ああ、はこっちね」


ニッコリと笑みを浮かべる九条が勧める席は、よりによって彼の隣の席だった。何かと目立つ参事の隣は正直遠慮したい。


「参事様の隣が俺でいいのか・・・?」
が傍にいると心強いからね、俺も」
「良く言う。どうせこの場に俺を呼んだのも九条だろう」
は聡いからやり難いね」
「よく言う」


小声で尋ねる俺の問いを微笑しながら答える九条に、食えない奴と内心悪態をつくのだった。







会議室でのやり取りを終え、寮に戻った時には門限ギリギリの時刻だった。今月より代替わりにより就任した寮長、高柳巳継(たかやなぎ みつぐ)の姿が寮門に見える。数多くの風習が今も残る天照において、学園の寮長就任に就任した者は就任から1ヶ月の間、就任のお披露目代わりに寮生の門限チェックをする事になっており、高柳も例に漏れずそのお役目に当たっていた。


「ん?遅かったな、
「・・・・執行部に捕まっていたからな」
「何かやらかしたのか?」
「まさか。ちょっと頼まれ事をしただけだよ」


精神的疲労を感じた俺は早々に自室で休もうと、高柳の横を通り過ぎようとしたが、


「う‘ぇ・・・」


制服の後ろの襟を掴まれて、喉が鳴る。


「ま、後もう少しでコレ終わるからそれまで付き合えよ。な、【副寮長】様」
「・・・・わかったよ。どうして俺の周りはこう強引な奴ばっかり・・・」


一瞬絞まった喉を押さえ高柳を睨みつけるが、本人は涼しげな表情でお役目をこなしていた。俺の周囲は友人まで食えない奴らしい。







「脚本担当ねぇ〜」
「そそ。去年、小説書いただろ?それが九条の目に止まったみたい」


高柳の自室でコーヒーをご馳走になりながら、今日の会議の内容を話す。特に口止めされていない内容ではあったし、高柳自身軽口でないからだ。


「運が悪かった・・・って事になるのか?紫上のお嬢様や那須乃のお嬢様とお近付きになれるんだろうけど、お前確か・・・・」
「那須乃のご令嬢には睨まれてるね、相変わらず」
「確か5月の昇段試験の時の対戦相手だったよな」
「9月もだよ。誇り高き彼女に言わせれば、俗の者である俺に負ける以上の屈辱は無いらしい。お陰で会議中睨まれ続けて苦痛だったな・・・・」
「その割りにはお前笑ってるよな」
「まぁね」


九条の正面側の席だった那須乃は、仇敵存在の俺を睨みつけていたのだが、俺は終始気がつかない振りをしていた訳で。それが九条の笑いのツボにヒットしたのか、会議中は苦笑いを浮かべる程度だったが、会議が終え、那須乃に捕まる前に教室に戻ったのだが、いつの間にか後ろからついて来た九条は教室に入るな否や大笑いを始めたのだった。那須乃に対してあんな事が出来るのは、そういないらしい。


「そう言えば2年壱組は何の出し物になりそうだ?」
「この前のアンケート結果から行けば、お化け屋敷」
「お化け屋敷か。津田の奴が張り切りそうだな」
「明日のHRで発表するけれど、本決まりすれば彼に大抵の事は任せられるから今年は楽だね」
「そういえば・・・・執行部の催し物にクラス委員長のお前が参加していいのか?」
「ああ、それ俺も言った。那須乃も嬉々として発言したんだけどさ・・・・執行部はあくまで部所属扱いのようで、帰宅部の俺が脚本担当として参加するのは可能らしい」
「お前の文才は認めるけど、どうして固執するのかわからないな。総代や九条は成績優秀だから脚本の1つや2つ簡単に書けそうなんだけど?」
「それは俺も思う。どうも他に他意がある気がしてならないね」
「引き受けるのか?」
「引き受けるしかないね・・・・不本意だけど」
「ごねると九条辺りが何かやりそうだな」
「下手に動いて執行部入りするよりは、黙って脚本引き受けた方が無難」
「用心しろよ、。クラス委員長と副寮長兼任してるのに、これで執行部入りしたら笑うからな、俺」
「普通、助けない?この場合?」
「総代と九条が相手じゃ分が悪い」
「それは俺も同じだ」
「違いない」


はははっとお互い一頻り笑うと、壁時計のアラームが7回鳴り、夕食の時刻を知らせる。高柳に目で促されて、食堂へと向かうのだった。







「・・・と、言う事で今年はシンデレラに決まったんだ。良いかな?」
「良いも悪いももう決定事項だろ」


ふぅ、とわざとらしく肩を竦めてみせると、「まぁな」と悪びれた様子も無く返って来た。俺、が執行部主催の演劇の脚本を引き受けてから3日後の事。いつ題材が話し合われるのかと思っていたら、向こうで勝手に決めてしまったらしい。


(脚本担当の意見は無視か・・・・。那須乃に会うよりは良いかな)


こちらは那須乃に対して特に何の感情も抱いてないのだが、向こうはどうも違うようで、会う度にあからさまに顔を不機嫌にして睨み付けて来る。そうなると流石の俺も苦手意識を抱かずにはいられないようで、今は必要最低限会いたくは無かった。


「出来ればも会議に出席して欲しかったけれど、美沙紀がね・・・・」
「会いたくないと喚いた?」
「いや・・・・・に決闘を申し込むつもりでいたからね。悪いとは思ったけど、美沙紀を宥めた後、俺達だけで決めてしまった」
「さんきゅ・・・」


きっと愛弓で射抜くつもり満々だったに違いない。勝つ自信はあるが、これ以上、向こうに白星をつけると何をしでかすのかわからない。


(常勝を良しとするのはわかるけど、視野が狭くないか・・・?)


きっとそれを本人の前で言った瞬間、また決闘だ、と言い出すのが目に見えているのだが。


(ま、今回は九条に感謝かな・・・)


「だた知っての通り、観客は郷の子供たちが大半だ。当然無料となるから・・・」
「了解了解。経費かからないようにやれって事だろ」
「そういう事だ。何かアイディアがあれば助かるが?」
「アイディアね・・・。去年の菊花祭はかぐや姫だったな」
「ああ、帝役が鼎先輩で、かぐや姫は保科先輩だったよ」
「良し、そのアイディア頂き」
「どうする気だ?」
「和風版シンデレラだよ。もし平安時代にシンデレラの物語があったら・・・というお話だ。これなら去年の衣装や大道具なんかも使いまわし出来るから経費も浮く」
「しかし、去年と似た物にならないか?」
「そこは俺の腕の見せ所だよ、九条君」


ニマっと不敵に笑って見せたら、九条がポカーンと呆気に取られた顔つきになった。すぐに表情は戻るが、あー、と言いながら天井を眺めてる。


(思ったな!絶対、どこにその腕があるんだ?!って素で思ったな!!絶対、良い脚本作って度肝を抜かしてやる!!)


それ以上、話は先に進む事無く、本日の話し合いはそこで打ち切りとなった。早々に脚本作成に移る、と意欲に満ちたはさっさと寮に帰ってしまい、一人残された九条は誰に告げる事無く、一人呟いた。


「あの笑顔は反則だろ・・・」







闘志に火を付けられてから、早3日。睡眠時間を惜しみ、削りに削って目の下の隈が目立つようになった頃。平安灰被物語と銘打たれた物語は完成し、九条に目を通して貰おうと教室内を探すが見当たらない。日直だった高柳に聞けば、今日は執行部室に行ってしまったらしい。明日渡すかな、と手にした原稿用紙を丸めると、目敏い高柳が用紙の束に視線を移した。


「これ、例の脚本か?」
「うん。ようやく完成だ。読む?」
「良いのか?」
「話がばれると面白くないから、その代わり他に漏らすなよ」
「へぃへぃ」


子供達に楽しんで見て貰えるよう、コメディータッチで描いてみたが、果たして観客が笑ってくれるのかわからない。面白いのかどうか高柳の反応を伺う為、しばらし観察していたのだが、笑いながら読んでいる姿を見る限りでは上々の出来らしい。出来の良さに満足するものの、この頃の寝不足が祟って目が霞む。瞼も重く、寮に帰って寝ようか、と思った頃、俺と高柳しかいない教室に珍しい訪問者が訪れた。


君、いるかな?」
「総代?!」


やって来たのは総代の保科先輩だ。脚本に夢中になっていた高柳も、「まじ?」と顔を上げて確認するのだが、間違えなく先輩だ。


「どうしたのですか?こんな所までいらして?」


一介の生徒を訪ねに総代が来るのも珍しい。困惑しながら尋ねると、実はね・・・と総代は苦笑しながらこれまでの経緯を話すのだった。







「つまり、那須乃嬢はと決闘したいのですね・・・」
「違うだろ」


高柳のボケに対し、俺は冷静にツッコミを入れた。お笑い好きの高柳はツッコミが入って満足したのか、ニヤニヤと笑っている。総代は微笑ましいな・・・と言わんばかりの笑顔で俺達2人眺めていた。


総代の話だと、今日の執行部会議でも那須乃はヒートアップした状態で執行部の催し物にスタッフとして参加する俺に異議を唱えたらしい。去年の菊花祭の文芸誌に投稿した俺の小説はかなりの人気だったようで、その文才は総代や九条も認めているらしく、俺に脚本の依頼が来た訳だが、小説と演劇の脚本は違う、と主張して頑として認めないようだ。


「俺は俺で認めなくて一向に構わないんですけどね」
「良いのかい?」
「とりあえず脚本は出来上がりましたから、出来を見て貰って決めて貰うしかないですね」


そう言って脚本を手渡すと、パラパラと流石総代は軽く目を通した後、


「この出来なら那須乃さんも何も言えないだろうね」


と、満足に笑った。


脚本はそのまま執行部室で検討して貰う事に決まった。


「気をつけて帰るんだよ」
「あ、総代ちょっとお待ちを・・・・」


教室を後にしようとする総代を引き止めたのは、俺ではなく高柳の方だった。口端を右上に吊り上げて笑うのは、彼が悪巧みをしようとしている時の癖だ。


「何かな?高柳君?」


表情は先程と同じままの総代だが、眼鏡の奥に潜む眼光に警戒の色が混じる。


(へぇ、高柳も一筋縄じゃいかない人間だって知ってる訳か。流石、総代って所なのかな・・・)


高柳が何をしようとしているのか見当はついたが、俺の出番は無さそうなので傍観する事に決め込んだ。


「ただの一生徒の意見として聞いて貰いたいのですが、菊花祭は表の執行部が主催する以上、そこのも表にしか関与するつもりはないかと思いますし、例え、執行部の裏の仕事を見てもコイツなら口は堅いですし聡い人間ですから、菊花祭の準備期間だろうと終わった後だろうと、無闇やたらと口にして睨まれるような頭の悪い事はしませんよ」
「ただの一般生徒が執行部の裏側を口にするとも思えないんだけど。君も同意見かい?」


顔は笑っているけど目は笑っていない総代に、高柳の言葉はかなり効いているのがわかった。出来れば早々に帰って頂くのが最良だが、満足する答えが聞けない限りは引く気がないらしい。やり過ぎたな、とアイコンタクトで高柳に送れば、フフンとした表情でこちらを一瞥した。


(ここで言っておかないと後々面倒だぞ、か・・・・)


那須乃が俺の参入を認めないのは、執行部の裏側に気づかれてはならないと言う危機意識が強いからだろう。逆に言えば、その裏を知った上で危険人物と認定されなければ期間限定の参入が認められるのだ。


だが・・・・。


チラリ・・・と、総代の顔色を伺う。確かに動揺してるようにも見えるが、裏の執行部が俺や高柳の想像通りの存在であるなら、その組織を総括する人間が高柳のあの言葉1つであっさり引っかかるのが気に障る。何かが出来過ぎている。俺はただ脚本を頼まれただけなのに何故・・・。


「そうですね。執行部が何をやっていようと俺には関係ない事ですし、それを他言しようとも思いません。脚本の件も俺の腕が買われたみたいですが、執行部内に反論の意見があるなら、残念ですが不採用という形を取らせて貰っても構いませんし、脚本が出来上がったら用無しでも構いません」
「それで君は構わないのかい?」
「構いませんが、1つだけお願いが」
「何かな?」
「廊下で聞き耳立てている人達にも言えますし、俺の横にいる高柳や総代にも言っておきたいことなのですが、誰の計画かは知りませんが、回りくどいやり方は止めて貰えませんか?これだけの人間を俺の為に割くのは光栄ではありますが、正直気に食わないですね。やるなら正々堂々とやって頂きたいと思いますね」


息を呑む音が聞こえる。驚愕の表情の高柳。目を大きく見開いて、俺を凝視する総代。静まり返っていた筈の廊下も途端に騒がしくなる。


(なるほど、当たりか・・・。総代すら手駒するとは来年が怖いね)


茶番劇をこれ以上続ける気はないらしい。高柳はバツの悪い顔をしているし、総代の方も困ったように頬を引っ掻いている。もうじき主犯である彼がここにやって来るのはわかっているが、素直に待っているつもりもなかった。


「それでは脚本の検討頼みますよ。お先に失礼しますね」


総代の制止の声が聞こえるが、従うつもりは勿論ない。こんな手の込んだ事をしてくれた彼に対しては、それなりに怒りを感じているし、ここで感情的な振る舞いをするのはもっと嫌だった。


「それでは失礼します。・・・・・あ、高柳、今度の紫陽花での食事でチャラな」


頷く高柳の声に覇気はない。当然と言えば当然だが、項垂れた態度からしぶしぶこの茶番に付き合った様子が見受けられたお陰か、まったく高柳本人には怒りは沸かなかった。


(高柳まで巻き込んでくれて・・・・一度じっくり話す必要があるかもな)


そう思いながら寮へと帰った。







「全部お見通しだったみたいだね、綾人」
「ええ。総代にはご迷惑をお掛けしました」
「構わないよ。あれ程の人材を野放しにしておくのも勿体無い話だからね」
「出来る事なら自主的に執行部に入って貰いたかったのですが・・・」
「だから言っただろ、九条。は勘が鋭い上、聡いから絶対にばれるって」
「高柳と総代が絡めばいけると思ったんだがな」
「確かに友人の俺と執行部ドンの保科先輩も居れば、俺もは気がつかないかとは思ったけどな。結果は九条の負けって事だ!やーい、負けた!負けた!!」
「ふふ、綾人の負ける所が見られるとは僕も総代をやっていて良かったよ」


ニコニコと笑う保科に半分やけっぱち状態の高柳を前に、九条は苦笑しながら前髪をかき上げた。廊下では相変わらず喧騒が続いて騒がしい。


(そろそろ来るか?)


そう思った時、勢い良く教室のドアが開いた。


「御前ともあろうお方があのような俗の者に負けたままで良いのですか?」


那須乃だった。その後ろに那須乃を制止する紫上に、ガハハハハと高笑いする宝蔵院が続く。


「ハハハ、綾人、お主の完敗だな」
「まったくですよ。でも、ここまでの完敗なら逆に清々しいですね」
「それで御前はこのまま引き下がるおつもりで?」
「まさか。相手が正々堂々と言って来たんだ。絶対に執行部に入って貰うさ」


ニヤリと不敵に笑う姿に、その場に居た誰もが本気になった九条綾人に目を付けられたに、深く同情を覚えるのだった。





九条綾人の華麗なる策略

・・・は、続く。