ダンスで1位を取れたものの、他が2位とか3位ばかりで、総合優勝するには最後の組対抗リレーで得点を稼ぐのみ。各チーム1年男女各2名、2年男女各2名、3年男女各2名。
計12名のリレーに全て掛かっていると言って過言ではないのだが・・・。



「ん?」
「優勝できそう?」


俺、山口圭介は、競技から戻ったばかりの副団長を捕まえると尋ねた。小声で尋ねた俺の問いに、が顔を僅かに顰めて見せる事で答えて見せた。


(難しい・・・どころの話じゃないな、この顔は)


生徒会長であるは、得点計算がどのようになっているかも多少知っている。(勿論、誰であろうと直接聞いた所で答えはしないだろう。公正性を期さなきゃいけないだろうし)(俺は他言しないし、信用されてるから、俺にだけわかるように表情で教えてくれた)勝てる見込みがあればはこんな表情はしない。もっと強かに不敵に笑う筈だ。


(リレーで優勝しても組での総合優勝は無理だな)


曇る表情。それを元に戻したのはだ。


「痛い」
「団長がそんな顔しちゃ駄目。不安がるでしょう?」


にこりとが笑う。に叩かれた頬が少し痛いが、それに応えるように俺も笑った。今の俺は青組の団長で、このチームのリーダーだ。


最後の競技のアナウンスが入る。


「行くか」
「うん」


組の声援を背中に受けて、俺が先頭、隣に。そして10人の選手を率いて、トラックへと移動した。最終種目、組対抗リレー。青組の優勝を信じる選手の為にも、俺は最後までやり遂げる。